16 May
16May

8月17日、東新町商店街での撮影の直前。

この日、雑誌の取材に来ていただき、川人の写真を何枚か、というお話になりました。

控え室で、北島愛子さんのヘアメイク真っ最中の、ASUKAさんのところに駆け込んで…


川「ねえ、わたし雑誌にこの顔で出ていい?」

A「いいわけないでしょ!(即答)」


なんとキャストの北島さんをお待たせして、そこ座りなさいっ!と、ASUKAさんにメイクをしてもらう。とんだ脚本家だ。


A「いつ撮るの?」

川「10分待っていただいてる…」

A「10分!アンタそもそも今すっぴんでしょ!?」

川「はい、すっぴんとくしまです」

A「とりあえず化粧水塗りなさいっ!パッティングは昨日教えた通りね!」


実は女子の合宿所、毎夜ASUKAさんによる美容講座が行われていて、この日までには、キャストのみならずスタッフも、洗顔、化粧水、乳液、パック、就寝の流れをしっかりこなし、万年ズボラのわたしも、お肌つやつやになりかけていたところ。


ぺたぺた化粧水を塗っているあいだにも、ASUKAさんはアイロンをあっためたり、リップを選んだりしながら「ボサボサ頭は外ハネにしちゃおう…服が現場服だから、きちんとメイクよりはざっくばらんな感じを出して…」と手際良く準備していきます。


じゃあちょっと触っていくよ、とASUKAさんがぎゅーっと右目に手を当てると。


川「あれ、今のはマッサージ?もう左右で目の大きさ変わってる!?」

北「はい!大きくなってます!いつも自分がしてもらうから、人のを見るのは新鮮です」


北島さん、お待たせしてるのに、なんて素敵な子なの…!

ダブルの感動もそこそこに、ASUKAさんがどんどん顔に色を乗せていきます。雑人間川人、内心「ええっ、その色、ぶっちゃけほとんど肌色じゃない?それ塗ってなにか変わる?」とか失礼なことを思っていたのだけれど、


10分後、そこには…

どう見ても川人なんだけど、いつもより確実にかわいい顔が!!

自顔自賛!でも、ASUKAさんの手柄ですので、ここからも謙遜せずにまいります!


川「ええー!元の顔変わってないのに、でもちゃんと変わってるー!」

A「任しときなって。行ってきな!」


ASUKAという名の姐御に見送られて、お待たせしている取材に戻ると、

友利第1話監督「おっ、なんかこう…なんか…なんだ?いいぞ?」


ヨシ!


さらにその後いらした阿呆連の連長さんも、

連「ん?なんかお前…なんだ?かわいいな?」


ィヨシッ!!!!


この日の撮影は、ご協力くださった阿呆連さん、何回もハードな踊りをこなしたキャストさん達には、はるか!はるかに!及ばないけれど、わたしにとっても人生で一番くらい大変で、走り回ったりやきもきしたりと色んなことがてんこ盛りでした。でも、その間、ずーっと「※ただし今日のわたしはかわいい」と思うことで、乗り切ることができました。メイクの力が背中を押してくれました。


それまでの撮影で、「女優さんだもん、かわいいに決まってる」なんてスレたことを考えていたけど、透き通るような葉月ひとみさんの魅力、天真爛漫な美紗央さんの魅力、まっすぐで凛としている北島愛子さんの魅力、本来みんなが持っているものを、ASUKAさんがさらに魅力的に引き出していて、それが『ぞめきのくに』の演出につながっていたんだな、と、遅まきながら知りました。全部のお仕事がハーモニーになって、できるのが映画なのでした。


なおその日の深夜、某スーパー銭湯にて。


A「メイク落としが甘い!流すのが早い!ゴシゴシ洗わないっ!まつ毛こすらないっ!アンタほんと雑~!!」


ASUKAさんの愛のスパルタ教室は、つづくのでした。


シリーズプロデューサー・作曲 川人千慧

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