家に帰るまでが遠足です。【文:犬飼佑子】


13 Apr
13Apr

小学校の教員になって1年目、2年生の子どもたちを連れて、1駅電車に乗って遠足に行く、という校外学習があった。


「と、いうことで、校外学習の事前指導を今週中にしておいて下さいね。」


と、学年主任。


「犬飼先生、イメージわかりますか?」


「はい、しおりを一緒に読んで持ち物の確認をしたり、駅では静かに、とかの注意で合ってますか。」


「そうそう」


「その後教室の後ろに電車の内部に見立てて椅子を並べて、電車に乗り込む予行演習するんですよね!!」


「えっ…あの、そこまではしなくていいですよ…。」


ん…?あれ?なんか変な空気になっちゃったぞ…。


思い出した。大学時代もこんな感じになったことがあったわ。


私が中3の時の話だ。修学旅行の事前指導として、体育館に学年全員が集められた。


目の前には人数分+αのパイプ椅子が並べられ、床にはビニールテープで線が引かれており、引率教員もずらっと並んでいる。


「今から、新幹線に乗る練習をする。いいか、新幹線には一般のお客さんも乗っとって、時間になったら出発する。徳島の汽車みたいに手でドア開けたり閉めたりせんと自動でしまってしまうけんな!!」と、学年主任、手にはストップウォッチ。


「いくぞ、新幹線が駅にはいってきました、降りるお客さんが降りました、はい、スタート!」


各クラスで練習していた我々生徒一同はダーっと、しかし一般のお客様にご迷惑をお掛けしないように乗り込むのだけれど、


「はい、時間きたぞ、はい、ストップ!」


仮ドアの前に、それぞれの担任が立ちはだかり、仮新幹線に乗り込めなかった生徒が出た。


「はい、みんな座れ。乗れんかったやつがおったな。これ、どうする?修学旅行行けんぞ?」


「もっとつめればいいと思います。」

「前の人は入って安心せずに、とにかく全員が入れるまで前に進んでほしいです。」

「荷物は1つにまとめて、できればリュック型がいいと思います。」


「そうやな。そうやってがんばって、みんなで修学旅行行こうな。」


はい、読んでる人、笑っちゃだめですよ?これ、うちの学校では(今はどうか知らんけど)伝統行事で、この時ばかりはヤンキーも真剣に話を聞くんですからね。


この話を大学の飲み会かなんかですると、まぁ都会の子達は笑う笑う。


でも一人だけ笑ってない子がいて、「私、鹿児島なんだけど、高校の修学旅行が東京だったんだけど、先生が『東京は満員電車で色々マナーがあるから、その練習する』って言って、1組から8組までが全員1組に集められてぎゅうぎゅう詰めになって、男子は絶対に両手でつり革持てとか、リュックは胸側にかけろとか言われたよ…。」


もう、徳島と鹿児島に友情しか生まれない状況。心の友だよ。


さて、広島駅の近くで生まれ育って愛媛で中学校教員になった友人がいるのだが、


「絶対ネタだと思ってたのに、本当に修学旅行の前に新幹線に乗る練習してて、この子たちはどんだけ可愛いのかと思った!」と、連絡が来た。


あ、徳島だけじゃなくて愛媛もなのね!


可愛かろう可愛かろう。


きっと和葉もそんなこと経験してたのよ。


徳島の子は可愛いんよ。


徳島あるあるを書こうと思ったんだけど、今はどうですか?


制作(現地ボランティアスタッフ) 犬飼佑子

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