『見る阿呆』の阿波踊り【文:川人千慧】


22 May
22May

今だから白状しますが、映画『ぞめきのくに』が始まるまでは、川人、阿波踊りの知識も深くなく、ただ見に行くだけの『見る阿呆』だったのです。特に県外に出てからは、仕事などで忙しく、お盆に帰省できない年も。


そんなわたしですら知っている『ぞめき』や『桟敷』、『鉦』や『笛』、『連』などのわくわくする言葉、そして何より、徳島のお盆を彩る独特の熱気について、踊りをご存じない方々に「そんなの常識じゃないよ」と温度差をいたく感じ、「阿波踊りってあれでしょ?チャンカチャンカでしょ?」とミョーに軽い口ぞめきを聞かされ、「おー、だったら常識にしてやろうじゃんよ」と思いたったのが、『ぞめきのくに』制作の、若干黒いほうの動機ではありました。


早苗役の美紗央さんと電話でおしゃべりしていて、「阿波踊りの認識が薄い場で、ムッとする時ってある?」と聞かれた時も、「そうですねえ。美紗央さん、クラシック・バレエをなさいますけど、『白鳥の湖』のパロディで、おもしろおかしく踊るやつ、あるじゃないですか、股間に白鳥の頭がついてるやつ。『バレエってあれでしょ』って言われたみたいな気分の時、ありますね」とお答えし、美紗央さん、大笑いしながら納得してくださいました。


川人、自分は踊れないのに、がぜん、全国ぞめき推進委員会みたいな、あくまで心持ちの問題ですが、そんな気持ちになっていたのです。


ですが、街全体が浮き立ち、遊びに行こう!とそわそわする大きなお祭り、はちゃめちゃ白鳥の湖でも、とにかく楽しもう!というイベント、そういった側面も、阿波踊りにはもちろんあると考えておりますので、今回は、連に所属しているわけでもなく、毎年熱心に関わっていたわけでもなかった川人の、ゆるーい『見る阿呆』側から捉えた、阿波踊りあるあるを思い起こしてみることにしました。


・小学校で阿波踊り


犬飼女史も書いていましたが、徳島県の小学生は、体育の授業で阿波踊りを踊る!

川人の小学校は、5・6年生が運動会で阿波踊りを披露することになっていました。高張提灯を模したプラカードも手作りし、ちょうど学年に1人か2人は、有名連で練習している子がいるものなので、その子をリーダーにしながら踊りを習います。

そして、クラスごとに『連の名前を考える』。『5の1連』とかでもいいのですが、それでは味気ないので、担任の先生が連の名前を決めさせてくれるのです。5年生の時の川人のクラスの連は、


チルド連


英語!おしゃれ!

当時、ミスター・チルドレンの曲が大流行りしていましたので、考案した子はそのつもりだったようなのですが、担任が「チルドレンって子供達って意味でよ!知らんとつけたん?これってすごい名前でよ!」と生徒より興奮していたのを、よく覚えています。

ただ、連をなにかと引っかけて言葉遊びしたくなる感性、そこはかとなく『レレレの連』さん、『ねたきりになら連』さんあたりと共通するものがあり、県民性があるような気がしますね。


・誰と行く?


高校生くらいになりますと、阿波踊り見る専の子達は、夏が来るたびに、また少し違った浮き足立ちかたをするようになってきます。題して『阿波踊り、誰と行く?』問題。

徳島市内4日間のお祭りを計算して、部活・クラスのグループ・中学の同級生・家族などなど、スケジュールを上手に組まなくてはなりません。そして、みんな心の中に秘めている、意中のあの子に、伝えるか否か。


阿波踊り、一緒に行かん?


『見に行かん?』とか『阿波踊りデート』じゃなくて、『阿波踊り行く』でもう、デートとして意味が通じています。「いつ行く?」「あっ、うち14日は○○くんと行くけん」と宣言する同級生のまぶしかったこと!


川人ですか?いつも楽しく部活の子達で行きました!


徳島駅に降り立ったら、まず流れるようにCITY(現在、跡地がダイワロイネットホテルになっています)に入り、プリクラを撮ります。まだ目は大きくなりませんでしたが、落書き全盛期でしたので、ばっちりおめかしした浴衣姿で撮り、「2002.8.14 あわおどり」とか、「来年もこの5人で行こな!」とか、書きこんでおりました。どの子も門限がゆるくなるので、遅くまで遊べる高揚感も手伝って、とても特別な日に感じたものでした。


・うちわのジンクス


阿波踊りには、全国の大学で、学生達の構成する、いわゆる『大学連』も多く参加します。県内の大学だと学部ごとに連があったりもしますし、県外私大などですと、いくつか大学が集まって『合同連』という形を取ったりもするようです。そして、それを見に行く徳島県内の高校生達の間で、ひそかにささやかれていたジンクス。


意中の大学のうちわをもらうと、頭がさえて合格する(頭が『良くなる』わけではないところがミソ)。


浴衣の後ろにさしたり、手に持って踊るために『〇〇大学』と書かれたうちわを用意するのですが、向こうも重要アイテムですので、やすやすとは手放してくれません。


わたくしの同級生のSちゃん、うちわをもらいたいがために、浴衣を着てメイクを研究し、大学生の男の子達に『めっちゃおねだり』するんだ~と意気込んでいたツワモノ。


実は川人、高校生の折、たまたま海外に留学していて見に行けなかった年があるのですが、その年のお盆に、Sちゃんから届いたメール。


「川人のために、Wせだ大学とT京大学のうちわもらってあげたけん!」


結局、どちらの大学にも行きませんでしたが、うちわのおかげで『頭はさえた』のでしょうか・・・?


シリーズプロデューサー・作曲 川人千慧

コメント
* メールはウェブサイト上に公開されません。