前略、川人千慧様
川人さんの初めの印象は「何あの『あんた達とは違うんです』感」なんか腹立つわあの子、でした。
スタート地点は嫌いでした。
あの頃のあなたは多分ホルモンのせいでしょうけど英語教師に向かって「向こうではそんな言い方しません。アメリカでは○○って言います。」ってドヤ顔で面子潰してみたり、不満があれば校長室に文句言いに駆け込んだりしていましたね。
完全に私とキャラがかぶっていました。
ここでは私がどんなことをしていたかは書き控えることにしましょう。当時のクラスメイトに聞いたらたくさん出てくるでしょう、私が忘れていることもきっと。
それは今思えば同族嫌悪、周りからすると「自意識強すぎて自分が1番正しいと思ってて、勝たないと気がすまない2人の誰もとめられない戦い」だったんでしょうね。アイツにだけは負けたくない!と。
転機はあの国語のテストだったように思えるのですが、いかがですか。
当時、いわゆる「進学組」だった私達はテストが終わると「さっきの最後の問題イだよね~!」とか、単語帳を開いて「スペル間違えた~!!」とかやってましたね。はは、キャッキャウフフと可愛らしいですね。
で、私は「A」が答えだと主張し、あなたは「B」が答えだと譲らなかった。
普通なら
「Aだよ!」
「B!」
「ま、そのうちテスト返ってくるよね!」
で、終わるところなので・す・が・・・。
「Aにするなんて信じられん。Bじゃなかったら頭丸めるわ。」
と、あなたは言いましたね。
あの一言でカッチーンと来た私は、
「は?何その言い方、じゃあAが答えだったらほんとに頭丸めなよ。」
と、言い合いになり、周りに「2人とも、やめなよぅ…。」と嗜められながら教室を後にしました。
その後、答えはAに○、Bに✕がつけられた答案が返却され、翌日あなたは頭を丸めて来ました。
花も恥じらう女子高生がいきなり坊主。
当時の反応をまとめてみましょう。
担任→イジメやら何やらを疑い精神的なショックを受ける。
常識的な友達→川人さんなんでそんなことを…犬飼さんが煽ったからだと、ショックを受ける。
私→なんそれめっちゃ面白いウケる!!
言ったことに責任を持つ人間だ。信じられるな、あ、なんか好きだな、とあの日思ったのです。
そんなあなたが映画撮るって言ったんです。
台風が来ようが槍が降ろうが、川人千慧が言ったことはやんなきゃいけないんです。
だから、手伝ったんですよ。
来年も休みの日は手伝います。
草々 犬飼佑子
追伸
えーと、すみません、「犬飼さん2割増で美人になる」って言ってくれませんか。よろしくお願いしま~す!
制作(現地ボランティアスタッフ)
犬飼佑子