とんだ晩茶さわぎ【文:川人千慧】


03 Nov
03Nov

実家に滞在している川人、『実家グルメ』を満喫しています。


東京のアパートはせまくて、炊飯器と電子レンジを同時に回すとブレーカーが落ちるので、まず広くて何品も同時に作りやすい台所が快適(こういうのも、VS東京になりますか?)。


メニューは実家の『いつもごはん』ですが、『大根と干し椎茸のばら寿司』『ボウゼのお寿司(標準語では『イボダイ』)』『干し椎茸入りミートソーススパゲッティ』『干し椎茸入り酢豚』などなど、なつかしい実家の味を堪能しています。っていうか、うちんく干し椎茸好きすぎん!?


さて、いやしんぼの川人、家の者のいない平日昼間に、なにかないかな、と戸棚をあさっていたところ、なにか葉っぱを煎じたようなものを発見。どうやらお茶ですが、葉っぱが大きく、ゴワゴワしている。


あっ、これ阿波晩茶かな!?


阿波晩茶は、徳島県のお茶で、独特の発酵したような匂いと、酸っぱみのある味、きれいな発色が特徴的。これもなかなか東京で味わう機会がないので、さっそくお湯を沸かして、急須で淹れます。


少し発色したお茶…なんかちょっとオレンジがかってる気もするけど、を、一口。


こんな味じゃなかった気がする。

首をひねっていると、祖母が帰ってきました。


祖母「なんしょんで?」

川人「いやこれ阿波晩茶と思うんやけど、なんか味が出んのよ」

祖母「うちに阿波晩茶やあるで?見たことないでよ」

川人「この葉っぱ」


乾いたブツを見せると、祖母も「たしかに普通のお茶っ葉ではない」という。「煮出したらわ?」というので、鍋にうつして少しコトコト。と、している間に母が帰宅。


母「なんしょん?」


こちらの容疑者にもブツを見せると、「ほれは阿波晩茶に決まっとぉわ」自信満々。煮出したお茶を三人でいただく。


「「「こんな味やったっけ?」」」


発酵の匂い…があるような気もするんだけど、酸っぱくないし、ちょっと苦い?


祖母「ほなけん、だいたいうちに阿波晩茶やあったで?って言よんで」

母「どっかからもろたんだろ?」

川人「逆に、阿波晩茶じゃないとしたらなに?」

祖母「ほう言われたらなあ…」


うーん、とうなりながら祖母、鍋を片付けようと、出し殻になったお茶っ葉を触った、瞬間「アハハハ~!」と笑い出した。


祖母「阿波晩茶やあるでか~!(訳: 阿波晩茶のわけがないでしょう)これな、ビワの葉っぱ!」


どこかの庭で剪定したのをもらってきて、大量に干したのを、今まで忘れていたらしいのです。でも、さすがは年の功で、触ってみたらわかったとのこと。ていうか、自信満々で阿波晩茶って言った母よ、その自信はどこから…。


思いこんで飲めば、ビワ茶もほんのり阿波晩茶な気がする。自分の味覚ってアテにならないなと思ったできごとでした。とんだ茶番ならぬ、晩茶さわぎ。


その日から、実家グルメに『ビワ茶』が加わることになりましたとさ。



脚本・音楽

川人千慧

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